
元来は、雨や風や寒さ、敵などから身を守ることを目的としていた「住まい」ですが、その後は家族が集まる場所として様々な機能が備えられ、家族の暮らしのシンボルとなりました。
そして現在は、住む人の個性やライフスタイルの主張、癒しの場と、単なる住むための場所から次第に「かけがえのない暮らしのパートナー」ともいうべき存在になってきました。
暮らしの中での主役はあくまでも「人」に違いありませんが、その主役を引き立て、暮らしという舞台をより楽しく演出してくれるのはまさしく「住まい」です。
その「住まい」といかに上手に向き合っていくかで、日々の暮らしはもとより、これから先の暮らしまでが変化すると言っても言い過ぎではないでしょう。
日頃から「自分の家は好きじゃない」と言っている人よりも「わが家が一番だなぁ」と言っている人の方がはるかに「暮らし」を楽しんでいるように見えます。
実は「暮らしを楽しんでいる」ということが、実際に住まいの売り買いの場で「大きな資産価値」になっているのです。
わかりやすく言えば、「この家が気に入らないので別な家に買い替えます!」と言って売り出す家と「この家は本当にいい家だったけど、自分達の暮らしが変化してきたので、別な家に買い替えます!」と言って売り出す家とでは、売れる値段が違うということです。
もちろん後者の方が高く売れるのですが、この違いは実に明確な形で買い手に伝わってしまうものなのです。
つまりは自分の住まいに対する愛着の差で、例えば「掃除」や「手直し」、「庭」、「家のまわり」、「除雪」などの状況が、その家を売りに出している人の気持ちを教えてくれるのです。
手入れや草むしり、そして雪かきが苦にならず、むしろ楽しく感じるくらいに住まいに愛着をもっている人は、間違いなく幸せだと思います。
それは、そこに暮らす人が自分の住まいに対して注いだ愛情を、その家から返してもらっているということではないでしょうか?
住まいは自分が受けた分だけ、住む人に忠実に応えてくれます。
掃除をしたり、花を飾ったり、リフォームをしたりすれば、「快適さ」という形で応えます。
反対に、手を掛けず粗末に扱えば「私は嫌われているんです」というサインを出します。
住まいの状態は、そのままそこに住む人の暮らしの状態なのです。
暮らしを楽しむために住まいに手を掛け、手を掛けた分だけ住まいによって暮らしが楽しくなる。
住まいと人とがそんな関係で付き合っていければ、家族だけでなく地域や街も、もっともっと元気になるような気がします。
そのために、日頃から住まいの健康を考えた整備・点検をこまめに行い、住まいの維持費や将来の買い替えを考えた貯蓄・積立をしっかりと考えていくべきではないでしょうか。
永年暮らした家を売りに出す時の気持ちは「娘を嫁に出す親の気持ち」と同じだと、ある人に言われたことがあります。「今の自分よりもっとこの家を幸せにしてくれる人に引継ぎたい」そんな想いが叶う売り買いを、不動産仲介業者は心に銘じておかなくてはならないのだと思います。
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