かなえ
あとは、この3件とも相談だけで終わらないで、早くうちの仕事になってくれればいいのになぁ…。
賢蔵
かなえちゃん、不動産の仲介っていうのは、相談がきっかけとなって、“そのうち”のお客様がだんだんと“今すぐ”のお客様に変わっていくという仕事なんだよ。言ってみれば、お客様と一緒に自分も成長する仕事だな。だから結果だけを先に求められないという面もあるんだよなぁ。
賢蔵
何だと、俺はいつも役に立つ話ばかりしてるじゃないか。
裕也
役に立つ話って言ったって、いつも“かなえちゃ〜ん、鯛焼き食べよう”ばっかじゃないの。
賢蔵
こいつ、ただじゃおかんぞ。こうしてくれる。バクバクバク。
かなえ
2人とも、本当仲いいよね。あら、お客様みたい…。
3件目〈C谷氏〉
裕也
あれっ、C谷さんじゃないですか。確か明日の午後にこちらからお伺いする予定でしたよね。
C谷
えっ、ええ、そうだったんですが…、もしよければ今日にでもと思いまして…。
裕也
あっそうですか、ま、まずはこちらにお掛けください。
かなえ
どうしたの?C谷さんの方から突然来ちゃって…。
裕也
いやー、どうしよう…。明日、店長と行く予定だったんだけど…。
賢蔵
コラ、何をごちゃごちゃ言ってるんだ。お客様が自分から来るということはそれだけ緊急な要件があるということだ。さっさと対応しろ。自分の担当のお客様だろうが。
裕也
そ、そうなんですけど…。わ、わかりましたよ、すぐ行きますよ。
かなえ
裕也君、店長は本社で会議だからお昼まで戻らないよ。でも、C谷さんは裕也君に会いに来たんだから…。
裕也
そ、そうだよね。うん、なんとか1人でやってみるよ。
C谷
いいえ、こちらこそ突然おじゃましまして…。実は家の件をできるだけ早くご相談したくて…。
裕也
そうですか。C谷さんのお宅はA棟の4LDKでしたよね。
裕也
先日の査定では、ローンの残高との開きが結構あったんでしたよねぇ…。
C谷
ええ、今売却してもローンが630万円残ってしまうという話でしたね。ただどうしても…、なんとかできないものかと思って…。
裕也
C谷さんがうちに査定をご依頼されたのは、確か…、先行きが不安でということで…。
C谷
そうなんです。ただ、あの時には“先の話”だったんですが…、それが“急を要する話”になってしまったものですから…。
裕也
えっ、“急を要する”って、一体どうしたんですか?
C谷
いや実は…、あの時お話した先行きの不安というのは、住宅ローンの支払いのことだったんです。
裕也
そういえば、C谷さんも住宅ローンはゆとり返済でしたよね?
C谷
そうです。6年目から返済額が約1.4倍になって、固定資産税も急に上がって、反対に税金の控除の方は6年で終了してしまって…。
裕也
実際、C谷さんの住んでいるF地区でも、当時ゆとり返済でローンを組んでいた方は結構いるんですよ。
C谷
そうなんですか…。それであの…、その支払いの方なんですけれど…。
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